怪談日記

実体験を中心に怖い話・不思議な体験を共有します

No.1【彼女】

【怪談】彼女

 

 このお話は、5年ほど前の実体験です。

 

 当時、私は大学進学のため地元の北海道から神奈川県大和市にある学生寮に引っ越してきたばかりでした。

その学生寮は女性の宿泊が禁止で管理人さん以外は全員男の比較的にぎやかな寮でした。

 

 そんな寮だったので割とすぐに友達もでき、わいわい夕食を一緒に食べた後そのまま共同のお風呂に入ってみんなで深夜までゲームをして寝るなんて生活でした。

 

 そんな怠惰な生活を送っていたある日、さすがに体力の衰えを感じた友人Aが深夜にランニングをしないかと誘ってきたんです。

 

 正直、私も受験勉強の期間は部活も引退し、大学生になってからもサークルには入っておらず、Aと同じく体力の衰えを感じていたので「OK!」と即答でした。

 

 そのあとすぐに、Aと一緒にコースや走る時間を相談し、私もAも地方出身で土地勘がなかったため、寮の目の前にある外観は割とキレイな中学校の外周を走ろうかということになり、週に3、4回深夜1:00頃から1時間程度ランニングして寮に戻り、お風呂に入りすぐ寝るという感じで過ごしていました。

 

 深夜ランも1か月ほど続き、習慣付いてきた頃、Aが体調不良で3日間ほど寝込んでしまい仕方なく一人でランニングをすることになったんです。

正直、一人で走るのは好きではないのでやめようかとも思ったのですが、せっかく習慣付いたのに「ここでやめるのもなあ。。。」と思い、頑張って一人で走ることにしました。

 

 そして2日間ひとりでランニングをしっかり行い、3日目も「さあ、いくか!」と気合を入れて深夜1:00過ぎに外に出ていつもと同じコースを走っていたとき、今までは全く気にならなかったんですが、その時はふと、中学校の体育館の床が地面より低く窓が地面すれすれについている構造だということに気づいたんです。

 

 個人的に窓が地面すれすれにある造りの体育館をあまり見たことがなかったので「珍しいなあ」なんて思い立ち止まって少し見ていました。

 

 窓はすりガラスになっていて内側に柵のようなものが付いているのが確認でき、その奥で何か白い影のような、ビニール袋のようなものが浮いているように見えたんです。。。

本当にボヤっとした感じだったので、とりあえずその場はスルーしてランニングを再開したのですが、1周回って同じ場所に戻ってくると先ほどの白い影のようなものが近づいている気がして、もう一度そこで立ち止まって見ているとだんだんと白い影が大きくなり突然ぱっと消えてしまい「え、え、何で?」と状況が理解できず、困惑していると。。。

 

 

 すりガラスの向こう側でゆっくりと下から白い影が上がってきて、そこで初めて白い影が何なのか理解しました。

 

 そこには、はっきりと首から上だけの女性の顔がべったりとガラスに張り付いていました。

 

 

 それを見て、怖いというよりもその場から早く逃げなきゃいけないという感情だけで全力疾走で寮に帰り、部屋のテレビをつけ必死に落ち着こうとしていました。

30分くらいテレビを見て少し落ちついたところで走ったあとなので、汗で体がベタついているのが気になりお風呂にいかなきゃと思い、そこで初めて「あいつがお風呂にいたらどうしよう」などと考えてしまい恐怖を感じました。

 

 そんな恐怖を感じながらも汗でベタついたまま布団に入るのがどうしても嫌でお風呂に向かう決心をし、脱衣所まで来るとお風呂の扉もあの窓と同じく、すりガラスでより一層怖くなってしまい目を閉じながらシャワーを一瞬で浴びて急いで部屋に戻り布団に入りました。

 

 布団に入ると疲れていたのか、そのままぐっすりと眠ってしまい翌朝寝坊をしてしまって、急いで学校に向かう準備をして管理人さんに挨拶をし駅へと一人で向かいました。

 

 昨夜の出来事などすっかり忘れており、帰宅したときには「お腹すいた~」しか考えていませんでした。。。

 

 夕食の準備をしていた管理人さんに「ただいま~」と挨拶をすると管理人さんが「ただいま。あ、そういえば」と続けてこう言ったんです。

 

 「今朝、寮の前で一緒にいた人は彼女さん?」

 

 私は、ゾッとして何も言い返さずそのまま部屋に戻りました。

Aの体調も回復し、その日の夜にランニングにも誘われましたがそれとなく断り、そのあと私はすぐに寮を出ました。

 

 寮を出る直前にAに今まであったことをLINEで伝えると全く信用してもらえず、Aは一人でランニングを続けていたそうですが、しばらくして「ごめん」とLINEが来てAも私と全く同じ体験をし、Aもすぐに寮を出たそうです。