怪談日記

実体験を中心に怖い話・不思議な体験を共有します

No.3【くし女】

【怪談】No.3 クシ女【実体験】

 

これは今から10年前、私が中学3年生の修学旅行のお話。

 

修学旅行の数日前、同じ部屋の男友達4人と仲の良い女子4人を呼んで夜は怖い話をしようという話になり、当時の私はこんな盛り上がる展開で自分の実体験を話せるなんて。。。とかなり舞い上がっていた。

 

同部屋の友達とは、どうやって女子たちを怖がらせるとかワンチャンあんなことやそんなことがあるのではないかという話ばかりしていた。

 

そして迎えた二泊三日の修学旅行当日、観光や食事は別に面白いことも起きず普通に楽しみ、一日目の宿はホテルで男女は別の階だった。

階段やエレベーター前には0:00過ぎまで先生たちが見張っているよと先に釘を刺され、初日から怒られて翌日のテンションが低くなるのは、どうしても嫌だったため集まるのは断念し、女子たちとも打ち合わせをし、翌日の夜にしようということになった。

 

その代わり、男子4人で翌日の夜に向けて予行練習をしようという話になり、深夜2:00頃までそれぞれが気になる人の隣になれるよう円になって男女交互に座る作戦を考えたり、内緒で持ち込んだ携帯で怖い話の話し方を見ていたが、全員寝落ちしてしまい結局寝坊して怒られるはめになった。

 

しっかり担任の先生に怒られたあとテンションは下がりまくりで最初は皆の口数も少なかったが、観光や食事をして昼過ぎには怒られたことも忘れ、いつも通りだった。

 

そうこうしているうち二日目の宿の旅館に到着した。

その旅館は東館と西館に分かれていて、私たちの学校は全員東館に宿泊することになっていた。

幸運にも男女同じ階で、先生たちの部屋とも離れていたため、見張りにもバレずその日の夜はスムーズに移動ができ、男女8人が私たちの部屋に集合できた。

 

22:00を過ぎたくらいで早めに集合し、気になる子を隣にして円になり、恋バナや先生の悪口などで盛り上がり気が付くと0:00くらいだったと思う。

そろそろ怖い話をしようということになり、男子が一人ずつ順番に怖い話を披露し、畳を叩いて脅かしたり、全く聞こえてもいないのに女の子の声がするなどと言ってみたりして最高に盛り上がっていた。

 

そのとき、私たちの部屋をノックする音が聞こえ「やばい、デカい声を出しすぎて先生にバレた」と思い、とりあえず女子4人を押し入れに隠し、男子だけでドアを開けると修学旅行や行事の際に同行してくれるカメラマンのおじさんが立っていた。

 

カメラマンのおじさんは、飲み物を買いに廊下に出たところ私たちの部屋から声が漏れていたので先生にバレる前に注意に来てくれただけだった。

私が「すみません、怖い話をしてたんです」と言うとカメラマンのおじさんも少しだけ参加してくれることになり一つだけ怖い話をしてくれた。

 

その怖い話というのが、カメラマンのおじさんは私たちが泊まっていた旅館に以前にも数回宿泊したことがあったらしく、東館のある部屋に泊まったときだけ深夜に急に目が覚め、気付くと金縛りにあっていて、首だけ動く状態で横を見ると、鏡の前で青白い顔をした長髪の女性が無言で笑いながら髪の毛をクシでとかしている姿を見たことがあるというものだった。

 

私は正直、ベタな話だなと思っていたが、たしかに部屋には和風の丸い置き鏡があり、それを見て女子たちはその日一番の怖がり方をしていたので空気を壊さないよう下手な発言はしないようにしていた。

一通り話し終えた後、カメラマンのおじさんが「さすがにそろそろ寝たほうが良い」と言うのでおとなしく私たちは解散し、寝ることにした。

 

女子たちが部屋に帰ったあとは、男子だけで「特に何もなかったけど、まあいい経験はしたよ」なんて言いながらすぐに眠りについた。

 

翌朝、友達の一人のAに無理やり起こされ、少しイライラしながら「何だよ」と返すとAが「クシ女の夢を見た」と言って騒いでいた。

 

とりあえず他の友達も全員起こして夢を見たというAの話を聞くと、カメラマンのおじさんの話通り、鏡の前でクシ女が髪をとかしていて、鏡越しに目が合うと這いつくばってこちらに寄ってきて私が寝ている敷布団の下に潜り、そのまま消えていったという。

 

その話を聞いて、「お前が怖がりすぎなんだよ」とか「ただの夢だろ」と少し馬鹿にしていたが、突然Aが私に向かって「お前の敷布団めくってみろよ」というので何だか嫌な感じはしたが、強がって「ああ、いいよ」と言い敷布団をめくった。

 

その瞬間、鳥肌が立った。

私の敷布団の下には、大量の長い髪の毛とクシが一つだけ落ちていた

 

すぐに女子たちの誰かが忘れていったものではないか確認もしたし、Aが脅かしてるだけじゃないかとも疑ったが、女子たちのものでもなくAも必死に「おれじゃない!違う」と訴えるので余計に怖くなり、とりあえずカメラマンのおじさんを呼び、状況を説明すると驚いた顔をしていたが、髪の毛とクシは処分してくれた。

 

あとでカメラマンのおじさんに聞いた話だが、実は以前にクシ女を見た部屋が私たちが宿泊していた部屋で、ドアをノックした時、飲み物を買いに廊下にでると声が漏れていたというのは嘘で、本当は以前にクシ女が現れた時間くらいに胸騒ぎがして気になり部屋まで来たが、「クシ女に気をつけろ」と言っても信じてもらえないと思い、思い切って怖い話としてその場で話してくれたらしい。

 

信じられないようなこの不思議な体験は、今でも当時の同部屋の男子4人と話すことがあるが、クシ女を見たからといって不幸なことが起きるというわけではなかったし、その旅館はまだ存在していて、未だにクシ女がなぜ現れるのか、そこで何があったのかも分からない。